雨は味方
ポツッ
ポツッ
空から何かが落ちてきた
見上げてみると、まぁるい水の粒が
ひとつ、ふたつと降ってきて
段々と数が増えてくる
慌てて傘を出して差し
濡れないようにと小さくなる
水の粒がさらに増えて
地面には所々に水溜まりもできてきた
それを左右によけながら
歩く自分の姿を想像し
少しだけ笑えた
流されて
押し寄せる流れに
ただ身を任せる
逆らおうとした時もあった
でもうまくいかなくて
諦めて、また逆らって
何度か繰り返すうちに
身も心もボロボロになって
力尽きていった
もう無理はしないで
このまま流れに従い
進むのも良いのかもしれない
深い霧が晴れたあと
目が霞んだかと思ったら
前にはとても深い霧が流れていた
いつもより薄暗い朝で
すぐ近くしかよく見えなくて
この先の様子もよく分からなくて
進みを緩めて見るけれど
それでもよく分からなくて
だんだんと不安な気持ちが
私を襲ってきて、不安が増してくる
少し風が流れてきて
霞がだんだん薄れてくると
そこには朝露に濡れる緑が輝いていた
わたしの成長
先日、年に1回度の健康診断に行った
身長と体重を測るために機械にそっと乗った
ドキドキ…
測定結果を見て驚いた
なんと、この歳になって身長が伸びていた!!
しかも、0.3cmも
わずか0.3cmとはいえ、伸びたことにビックリ
誤差、と言えば誤差かもしれないが
それでも人生半世紀近くいきてきた
わたしの身長が伸びたなんて
本当に驚いた!
あまりに驚いたので、
肝心の体重がいくつだったのか
見るのを忘れてしまった(笑)
突然の穏やかな時
一日と、過ごす時間が辛すぎて
1時間、1分がなかなか進まない
それでも数えながら、やり過ごす
時が流れて、
本当に長い長い時が流れ
やっと縛りが解かれて外にでる
いつものようにうつむいて歩いていると
後ろから声をかけられた
仕事の話、世間の話
うんうん、そうだよね
と、うなずく私のところに
話が溢れていた
いつもならば重い足取りも
この時だけは軽くなって
遠い道のりも近くに感じた
見ていてくれるから
一日中、会社にいて
パソコンの画面にむかって
今日も思う
見ていてくれるのはこの画面
何も話さなくても
ずっと私を見ていてくれる
何も言ってくれないけれど
ただ、ただ私も見つめている
励ましてはくれないけれど
それでも私を見ていてくれる
辛いことがあった時でも
ただ、ただそれを見つめている
何も言ってはくれないけれど
大勢いる事務所の中で
私を見ていてくれる唯一のもの
私を知ってくれている唯一のもの
だから私も、ただ見つめている
風の前を横切って
冷たい風にあたられて
甘わず肩をすくめる
私があなたの前を横切ったのだから
あたられても仕方がない
でも、どうせ当たるのならば
私の心の中に燻るものを
一緒に持っていって欲しい
辛くて
寂しくて
悲しくて
涙も愚痴も
ぜーんぶあげるから
持ち去っていっておくれ
そうすれば、少しは心が
軽くなれるから